重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入に関する法案の全容がわかった。サイバー攻撃の予兆などをつかむために官民が協力する過程で取得・共有した通信情報を漏洩した人に罰則を科す。官民双方で秘密を保持できる体制づくりにつなげる。
政府は能動的サイバー防御にあたり、攻撃元の手の内を探るためにサイバー攻撃に関する国内外の通信情報を事業者から得る。
その情報を漏らした行政職員やむやみに窃取し…
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【日本経済新聞 電子版さんの投稿】
引用元 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA15B8T0V10C25A1000000/?n_cid=SNSTW001
能動的サイバー防御に関する法案の全容が明らかになったというニュースを見て、日本のサイバーセキュリティの現状について改めて考えさせられました。サイバー攻撃の予兆をつかみ、防御を強化するために官民が協力し、通信情報を取得・共有する仕組みを作るというのは、現代の複雑な情報社会において必要不可欠な取り組みだと思います。しかし、同時にいくつかの課題や懸念点も浮かび上がります。
まず、この法案の意義について考えると、サイバー攻撃を未然に防ぐための「能動的サイバー防御」というアプローチ自体は、大いに賛成です。これまで日本のサイバーセキュリティは、基本的に「受動的な防御」が中心であり、攻撃が発生してから対応するという姿勢が目立っていました。しかし、サイバー攻撃の性質上、攻撃が発生してから対応するのでは遅すぎる場合が多いです。攻撃元の手の内を事前に探り、具体的な対策を講じることは、これからの時代において必須だと思います。
一方で、今回の法案では、通信情報を漏洩した場合の罰則が盛り込まれている点に注目しました。官民が協力する中で取得・共有された情報を漏洩させないようにするためには、厳しい罰則が必要であることに異論はありません。しかし、このような仕組みを運用する上で、本当に秘密保持が徹底されるのか、運用の透明性が保たれるのかという懸念があります。罰則を設けるだけではなく、情報の管理体制や監視メカニズムも十分に整備されるべきだと感じます。
また、官民協力で通信情報を共有するという仕組みは、情報収集の範囲や目的が曖昧にならないよう慎重に設計されるべきです。どのような情報が収集されるのか、その情報がどのように活用されるのか、国民に対して十分に説明されることが求められます。秘密保持が必要だからといって、運用がブラックボックス化してしまえば、国民の信頼を損ねる可能性があるため、慎重な議論が必要だと思います。
さらに、サイバー攻撃の防御を強化するためには、法整備だけでなく、技術的な基盤の強化や人材育成も欠かせません。日本はサイバーセキュリティにおいて、国際的な比較ではまだまだ遅れている部分が多いと言われています。特に、高度なサイバー攻撃に対応できる専門人材の不足は深刻です。この法案の運用が成功するためには、こうした人材の育成や技術の向上が同時に進められることが重要です。
また、能動的サイバー防御の運用が、国民のプライバシーを侵害する形で進められることは絶対に避けるべきです。通信情報の共有が必要だとはいえ、その収集範囲や使用目的が曖昧であれば、不必要な情報収集や監視につながるリスクがあります。プライバシー保護とセキュリティ強化のバランスを取ることは、非常に難しい課題ですが、これをないがしろにすれば国民の信頼を失いかねません。
さらに、情報漏洩への罰則強化が謳われていますが、それだけで十分とは思えません。過去にも、行政や企業での情報漏洩事例が多く報告されており、罰則を強化するだけでは問題の根本的な解決にはならないでしょう。情報管理のルールやプロセスの整備、そしてそれを確実に守らせるための監視体制をしっかり作ることが必要です。
私がこのニュースを読んで特に感じたのは、いまさらながらこのような法案が議論されるという事実です。世界各国ではすでにサイバーセキュリティへの取り組みが進んでおり、日本はこの分野で遅れをとっているのが現状です。「いまごろ?」という印象を持つ人が多いのも無理はありません。特に、スパイ防止法や秘密保護法といった法律が整備されていない日本では、情報保護への取り組みが甘いと言われてきました。今回の法案がその一歩となることを期待しますが、これだけでは不十分だと感じます。
最後に、この法案が国会でしっかりと議論され、実効性のある形で運用されることを期待します。サイバー攻撃は今後ますます高度化し、頻発することが予想されます。国民や企業が安心して暮らし、活動できる環境を整えるためにも、迅速かつ効果的な制度設計が求められます。
執筆:編集部B