ドイツやオーストリアの60以上の大学や研究機関は10日、共同声明でX(旧ツイッター)の利用を中止すると宣言した。現在のXの在り方が科学や事実に基づく民主的な議論を求める大学や研究機関の価値観と「相いれない」ためだと説明した。ドイツメディアが伝えた。
共同声明は、Xが右派ポピュリスト的なコンテンツの拡散を強化していると主張。共同声明に参加した一部の大学は個別に声明を出し、実業家イーロン・マスク氏がXを買収してから「オーナーの意向に沿うコンテンツが好まれるようになった」と指摘した。
[全文は引用元へ…]
【産経ニュースさんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20250111-HND5LSIXRVKSVDS5F2WRVNPJ4Q/
ドイツやオーストリアの60以上の大学や研究機関がX(旧ツイッター)の利用を中止するという共同声明を発表したというニュースに、私は大きな驚きとともに、複雑な感情を抱きました。声明の理由として、Xが右派ポピュリスト的なコンテンツの拡散を強化しており、科学や事実に基づく民主的な議論を求める大学や研究機関の価値観と「相いれない」とのことです。この動きは、学術界とSNSプラットフォームとの関係性や、情報の自由な流通のあり方について深く考えさせられる出来事だと感じます。
まず、大学や研究機関がSNSの利用を見直すというのは、情報発信のあり方として重要な判断です。特に、学問の自由や事実に基づく議論を重視する研究機関にとって、誤情報や偏った情報が氾濫する場での発信が適切かどうかを再考するのは自然な流れでしょう。イーロン・マスク氏によるXの買収以降、言論の自由を前面に押し出した運営方針が採られてきましたが、それが逆に極端な意見や過激な発言を助長している側面も否定できません。
しかし、この対応が本当に最善だったのかは疑問が残ります。SNSは現代社会において重要な情報伝達ツールであり、特に若年層に向けた情報発信には欠かせない存在です。大学や研究機関がXの利用を停止することで、信頼性の高い情報が届きにくくなる可能性があるのではないかと懸念します。誤情報が広がるのを防ぐためには、むしろ正しい情報を積極的に発信することが効果的ではないでしょうか。
Xが右派的な意見を重視しているという批判についても慎重に考えるべきです。言論の自由は、あらゆる意見が公平に扱われることが前提です。仮にXが特定の思想に偏っていたとしても、その場を離れるのではなく、健全な議論の場を作り上げる努力も重要ではないかと思います。SNSの持つ影響力を考えると、学術機関が完全に撤退するのではなく、批判的思考を促進する教育や情報発信の質を高める工夫が必要です。
また、こうした動きは、情報の多様性を損なう可能性もあります。右派的な意見がSNS上で目立つとしても、それが即座に危険視されるのは問題です。異なる意見が存在することは民主主義の本質であり、互いの意見を尊重しながら議論を深める姿勢が求められます。極端な意見や誤情報が問題視されるのは当然ですが、その解決策として利用停止を選ぶのは、やや極端な対応のように感じます。
イーロン・マスク氏が買収後に進めたXの運営方針にも注目する必要があります。彼はプラットフォームの透明性や言論の自由を重視してきましたが、その一方で、極端な意見が拡散しやすくなったという批判もあります。プラットフォーム運営にはバランス感覚が求められますが、現在のXはその点で課題を抱えていると言わざるを得ません。しかし、それが理由で大学や研究機関が一斉に撤退するのは、SNSの持つ可能性を放棄することにもなりかねません。
一方で、SNSプラットフォーム自体にも責任があるのは事実です。誤情報の拡散を防ぐ仕組みや、健全な議論を促進する機能の整備は不十分だと感じます。Xが言論の自由を重視するのは理解できますが、プラットフォームとしての責任を果たさなければ、社会的な信頼は得られません。情報の信頼性を担保する仕組みを強化することが、こうした批判を和らげる道ではないでしょうか。
また、情報の受け手側にも責任があります。SNS上の情報を鵜呑みにするのではなく、情報の真偽を自ら確認する姿勢が求められます。大学や研究機関が情報リテラシー教育に力を入れ、学生や一般市民がSNS上で正しい情報を見極める力を養うことが重要だと感じます。SNSの利用停止ではなく、正しい情報の見極め方を教えることで、より健全な情報環境が生まれるのではないでしょうか。
今回の決定は、大学や研究機関の立場から見れば、信念に基づいた正当な対応かもしれません。しかし、社会全体で考えたとき、その影響は大きいと感じます。特に若者層はSNSを通じて情報を得ることが多いため、大学や研究機関が積極的に正しい情報を発信することの重要性はますます高まっています。
これからの時代、情報の発信と受信はますます多様化していきます。SNSを敵視するのではなく、いかに活用していくかを真剣に考えることが求められます。プラットフォームの改善も必要ですが、利用者側もリテラシーを高め、健全な情報社会の構築に努めるべきだと強く感じました。
執筆:編集部A