国内でモスクが増えている。2024年6月時点で全国のモスクは約150カ所と、25年でおよそ10倍になった。日本の人手不足を背景に在日イスラム教徒は増え続け、身近な存在となっている。
「モスクは実家みたいな場所」
「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」。24年12月中旬の金曜正午ごろ、東京都渋谷区にあるモスク「東京ジャーミイ」で、独特な抑揚をつけた男性の声が礼拝の時間を告げるアザーンが響き渡る。…
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【日本経済新聞さんの投稿】
引用元 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD0995A0Z01C24A2000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1736540175
国内のモスクが過去25年で10倍に増加したというニュースには、大きな関心とともに複雑な思いを抱きました。この背景には、日本の深刻な人手不足を補うために多くの外国人労働者が受け入れられてきたことがあります。特に、イスラム教徒の労働者が増えたことで、宗教的なニーズに応えるためにモスクが各地で建設されるようになったのでしょう。
まず、日本の労働市場の現状を考えると、少子高齢化の進行によって慢性的な人手不足が深刻化しています。建設業、製造業、介護業界など、体力や専門的な知識を要する分野では特に深刻であり、外国人労働者の受け入れは避けられない状況です。このような中で、イスラム教徒の方々が日本社会で働き、生活するためには、宗教的な配慮が欠かせないのは理解できます。
モスクの増加は、彼らが安心して信仰を実践できる環境を整えるために必要なインフラ整備の一環であると言えます。しかし、急激な変化には一定の懸念も伴います。日本は長い歴史の中で独自の文化や価値観を築き上げてきた国です。その中で、多文化共生を進めることは重要ですが、文化や価値観の違いが地域社会にどのような影響を与えるのかについても冷静に考える必要があるでしょう。
特に、地域社会との摩擦が生じないよう、外国人労働者の受け入れと同時に地域住民との交流や理解を深める取り組みが求められます。例えば、モスクの建設や運営にあたっては、周囲の住民への丁寧な説明や配慮が必要です。宗教的な自由は尊重されるべきですが、地域の伝統や習慣も同様に大切にされるべきだと考えます。
また、治安や安全面への配慮も欠かせません。モスクは宗教的な施設であると同時に、コミュニティの集会所としての役割も果たします。外国人労働者の増加に伴い、地域社会の安全や安心を守るための対策も強化するべきです。例えば、防犯カメラの設置や地域パトロールの強化など、地域住民が安心して暮らせる環境づくりが必要です。
さらに、イスラム教徒の方々が日本で生活するにあたって、宗教上のルールや文化の違いがトラブルの原因にならないよう、互いの理解を深める努力が重要です。例えば、豚肉やアルコールの摂取を禁じる食文化、礼拝の時間や方法など、日本人には馴染みのない習慣も多くあります。これらについて、日本人が正しく理解する機会を設けることは、地域の共生にとって不可欠だと思います。
一方で、日本社会も柔軟に対応していく姿勢が求められます。例えば、企業がイスラム教徒の従業員のために礼拝スペースを設けたり、ハラール対応の食事を提供するなど、働きやすい環境づくりを進めることが、今後の国際社会においては必要不可欠になるでしょう。ただし、こうした対応は、他の宗教や文化を持つ労働者に対しても平等に行われるべきであり、一部の宗教や文化だけが優遇されていると感じさせない工夫が必要です。
日本は島国であり、歴史的に単一民族国家としての意識が強かったこともあって、多文化共生にはまだ課題が多いと感じます。しかし、今後ますます進むグローバル化の中で、異なる文化や価値観を持つ人々と共に生きていく道を選ばざるを得ません。だからこそ、外国人労働者の受け入れやモスクの増加を単なる事実として受け入れるのではなく、日本社会としてどう向き合うべきかを真剣に考える時期に来ているのだと思います。
一方で、急速な外国人労働者の受け入れが地域社会に与える影響を無視することはできません。文化の違いによる摩擦や、生活習慣の違いから生じるトラブルが増えれば、地域住民の不安や不満が高まることも予想されます。そうならないためにも、政府や自治体が地域との橋渡し役となり、双方の理解を深める取り組みを積極的に行うことが求められます。
また、日本の伝統文化や価値観を守りながら、多文化共生を実現するためには、教育も重要な役割を果たします。学校教育の中で、異文化理解や多様性の重要性を教えることで、将来的に文化の違いを受け入れられる社会が育まれるでしょう。地域イベントや交流会を通じて、実際に異文化に触れる機会を増やすことも効果的です。
日本は、これまでの歴史の中で多くの外国文化を受け入れ、自国の文化と融合させて発展してきました。今回のモスクの増加も、そうした歴史の延長線上にある出来事かもしれません。しかし、無条件に受け入れるのではなく、日本社会の安定や安全、そして文化的な調和を保つために、冷静かつ慎重に対応する必要があると感じます。
最終的に、外国人労働者の増加やモスクの建設が、日本社会全体にとってプラスになるのかマイナスになるのかは、私たち一人ひとりの対応や受け止め方にかかっています。互いの文化や価値観を尊重しつつ、日本らしい多文化共生の形を模索していくことが、今後の課題であると強く感じました。
執筆:編集部A