石破首相は6日午後、三重県の伊勢神宮参拝を終えた後、年頭記者会見に臨み、「令和の日本列島改造」に取り組み、地方創生を推進する決意を示した。
石破首相は会見で、これまで日本は明治維新以降「強い日本」を目指し、戦後は「豊かな日本」を目指してきたが、今後は第三の日本=「楽しい日本」を国民と共に創り上げていきたいと表明し、「世界平和の下、すべての人が安心と安全を感じ、多様な価値観を持つ一人ひとりの国民が『今日より明日はよくなる』と実感し、自分の夢に挑戦し自己実現を図っていける活力ある国家」を目指す意向を示した。
その上で、「その第一の柱として私は令和の日本列島改造と位置づけ、『地方創生2.0』を強力に推し進めていく。一極集中を見直し、多様性を未来への力としていく」と表明し、田中角栄元首相の日本列島改造論や大平元首相、竹下元首相らの取り組みを礎に地方創生を進める考えを示した。
そして「新たに創設を目指す防災庁も含め、政府機関の地方移転、国内最適立地を強力に推進する。これまでの取り組みを検証しつつ、地方からの提案を改めて募り順次結論を出していく」と強調した。
また、経済全体の活力を取り戻すことも重要だと指摘し、「賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現していく」とし、最低賃金を2020年代に全国平均1500円に引き上げる目標の実現に向け、国としても最大限の対応策を講じると表明した。
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【くつざわさんの投稿】
引用元 https://www.fnn.jp/articles/-/810190
石破首相の年頭記者会見を聞いて、率直に違和感を覚えました。「楽しい日本」というフレーズ自体は耳触りが良く、前向きな印象を受けますが、その具体的な中身については曖昧で抽象的な印象が強く、本当に国民生活に寄り添った政策が実現できるのか疑問を抱かずにはいられません。
首相はこれまでの「強い日本」「豊かな日本」に続く新たな国家像として「楽しい日本」を掲げました。しかし、楽しさという曖昧な概念を国民が実感できるようにするには、具体的な政策と実行力が必要です。ただのスローガンではなく、国民が実際に安心感を得られ、未来に希望を持てるような政策を打ち出してもらいたいものです。
地方創生についても「令和の日本列島改造」という表現で推進を強調しましたが、その実効性には大きな疑問が残ります。過去の田中角栄元首相が進めた日本列島改造論はインフラ整備を大幅に進めた反面、バブル経済崩壊後の地方疲弊を招いたという側面もありました。同じ失敗を繰り返さないためには、地方創生の枠組みや財源、実現可能性について明確な方針を示すべきです。
さらに、最低賃金の引き上げについても気になる点が多くありました。全国平均1500円を目指すとしたのは労働者にとっては良い話に聞こえるかもしれませんが、中小企業の経営者にとっては大きな負担となります。現在の物価高騰と経済状況を考えれば、人件費の増加によって多くの企業が経営難に陥り、結果的に倒産やリストラが相次ぐ可能性も考えられます。
賃金の引き上げは単体では評価できても、それを支える具体策が示されていないのは問題です。単に賃上げを義務付けるだけでは経済全体の活性化にはつながらず、むしろ中小企業の倒産によって雇用が失われるリスクが高まるのではないでしょうか。その結果、失業者が増加し、社会保障費がさらに膨らむという悪循環も懸念されます。
また、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」との発言についても疑問が残ります。投資を促すには企業が安心して資金を投入できるような環境づくりが必要ですが、税負担の増加や規制強化によって経営の自由度が低下するのであれば、逆に企業活動が萎縮してしまう可能性があります。
地方創生や防災庁の創設についても同様です。これまでにも地方分散や防災強化は叫ばれてきましたが、実際には具体的な成果が見られないまま時間が過ぎてきました。新たに防災庁を創設するとしても、その財源や組織のあり方について明確に示されなければ、また無駄な予算が使われるだけになりかねません。
地方創生についても、すでに大都市への一極集中が進みすぎている現状では、企業や人材を地方に分散させるのは簡単なことではありません。地方移転を促すためにはインフラ整備や雇用の創出が必要ですが、その具体策についても曖昧なままであり、実際に地方が活性化するのか疑問が残ります。
さらに、最低賃金引き上げが進めば、物価のさらなる高騰を招く可能性も考慮すべきです。物価上昇と賃上げがバランスよく進めば良いのですが、実際には賃金上昇のペースが追いつかず、生活苦が増す可能性も否定できません。
政治家の発言はどうしても耳障りの良い言葉が並びますが、実際に国民生活に直結する政策を具体化できるかどうかが重要です。「楽しい日本」を掲げるのであれば、まずは国民が安心して暮らせる環境を整え、経済的な不安を解消することから始めるべきではないでしょうか。
現状では、少子高齢化や人口減少といった課題が山積しているにもかかわらず、それに対する具体的な対策が示されていません。ただ理想を語るだけでは国民の不安は解消されません。もっと現実に即した政策を打ち出し、実行してほしいと強く思います。
経済対策や地方創生、防災対策など重要な課題は多くありますが、それぞれの課題に対して具体的な工程表や目標設定が必要です。ただのスローガンに終わるのではなく、国民が実感できる成果を示してほしいものです。
今回の会見では期待感を抱くというよりも、むしろ現実との乖離を感じてしまいました。国民の生活を守るために、本当に実効性のある政策が求められていることを改めて考えさせられました。
執筆:編集部B