産経新聞社は昨年11月中旬から12月上旬、主要企業111社を対象にアンケートを実施した。
その中で、中国・深圳で昨年9月に発生した日本人児童刺殺事件などを受け、在中国駐在員やその家族の安全に「懸念」を示した企業が7割を超えた。希望者の一時帰国を含む具体的な安全対策をとった企業も6割以上に達し、現地の邦人社会で不安が消えない状況が浮き彫りになった。
中国では日本人児童刺殺事件のほか、昨年6月にも日本人親子が襲われ、けがをする事件が発生。中国人らが被害を受けた無差別殺傷事件も相次いだ。
企業に駐在員や家族の安全について尋ねると、「懸念している」が42・3%で最多。続いて「やや懸念」が17・1%、「かなり懸念」も14・4%で、懸念を示した企業は合計で7割を超えた。
治安悪化の背景に経済不況や反日感情が指摘される。
具体的な安全対策をとっている企業は64・0%で、複数社が「会社負担による帯同家族の一時帰国を認める」(金融業、製造業など)と回答。「台湾問題を巡る政情不安を踏まえ、新たな赴任者は家族の帯同を保留している」(製造業)との回答も見られた。
[全文は引用元へ…]
【産経新聞さんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20250106-CNTX532UHRNM7K4P25T3QVZVTM/
中国での邦人駐在員やその家族の安全に関する問題が浮き彫りになっています。昨年の日本人児童刺殺事件をはじめとする一連の事件は、日本企業や邦人社会に深刻な影響を及ぼしています。このような事件が発生する背景には、経済不況や反日感情があると指摘されていますが、これに対する適切な対応が急務です。
アンケートの結果、7割以上の企業が安全面で「懸念」を示しているというのは、現地での治安が深刻な状況にあることを物語っています。これまでにも無差別殺傷事件や日本人を狙った暴力事件が報告されており、現地に滞在する邦人の不安は想像以上のものがあるでしょう。特に、帯同家族を抱える駐在員にとっては、日々の生活そのものがストレスとなる可能性があります。
一部の企業が「希望者の一時帰国」や「新たな赴任者の家族帯同保留」といった具体的な安全対策を講じていることは評価できます。しかし、これらはあくまで一時的な措置にすぎません。根本的な解決策には、現地の治安状況を改善するための政府間協議や、邦人コミュニティの安全を確保する仕組みが必要です。企業だけでなく、政府が積極的に介入することで、邦人の安全を守る具体的な方策を打ち出すべきです。
また、現地の反日感情が日本人に向けられる要因の一つとして指摘されていますが、この問題を放置しておくと、さらなるトラブルの発生を招く可能性があります。日本政府が現地の状況を適切に把握し、中国政府と協力して治安改善を促進する必要があります。同時に、企業側も現地従業員や取引先と良好な関係を築く努力を継続することが求められるでしょう。
企業が駐在員や家族の安全確保に対して責任を果たすことは当然ですが、さらに多面的な対策が必要です。例えば、現地でのセキュリティ訓練の実施や、社員への情報提供の強化といった取り組みが考えられます。また、現地でのネットワークを活用し、駐在員同士が情報を共有できる体制を整えることも重要です。
日本と中国の経済関係は深く結びついており、多くの日本企業が中国でのビジネスを展開しています。しかし、治安問題が解決されないままでは、これまで築き上げてきた信頼関係や経済活動そのものが危機にさらされるかもしれません。企業の努力だけでなく、政府間の協調を通じて安全対策を強化し、邦人が安心して暮らせる環境を整えることが求められています。
最後に、台湾問題や政情不安が駐在員やその家族の不安をさらに増幅させている現状も見逃せません。これらの問題は地域の安定に直結しており、日本だけでなく国際社会全体での取り組みが求められています。外交を通じて平和的解決を目指すことが、邦人の安全にもつながる重要な鍵となるでしょう。
執筆:編集部A