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月刊「正論」2024年7月号は、「特集 なし崩しの〝移民〟受け入れ」で、青山学院大学の福井義高教授の「国民を富ませない移民の経済効果」を掲載した。オランダで23年に公表された報告書「国境なき福祉国家」(最終版)を検証したものだが、福井氏は23年7月号でも米ハーバード大学のジョージ・ボーハス教授の研究をベースに移民の経済効果を論じている。2本の論考に通じるのは、「建設的議論の一助とすべく移民を感情ではなく勘定の問題として考えてみた」点だ。
移民を経済効果で論じることには反発があるかもしれないが、移民を受け入れて国が貧しくなるのは本末転倒だ。受け入れにもお金はかかるのだから、移民がもたらす経済効果は無視できないポイントである。
オランダと米国のケースから福井氏は、「移民受け入れは、自国民の所得増を伴わない、格差を拡大する所得再分配政策なのである。勝者は企業とエリート、敗者は一般国民である」と結論づけている。
オランダのケースをもう少し紹介すれば、「国境なき福祉国家」は全オランダ人口の個人データを使って、オランダ人と移民(出身地域別)のそれぞれの財政貢献と、それぞれに対する財政支出を推計。非欧米出身移民1人当たりの2016年の財政貢献度はマイナス170万円だった。さらに複数年度ベースでみると、マイナス幅はさらに大きくなったという。
福井氏の論考では、物価上昇率などあらゆる変動要因も考慮されていることが説明されている。人情としては冷たい話ではあるが、きれいごとでは済まされない議論だけに冷静に考慮されてしかるべきだ。
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【産経ニュースさんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20250105-ZASYDNPZAVJ7XACJKEGZVGELDQ/
移民問題について、青山学院大の福井教授の指摘は非常に重要であると感じた。移民受け入れが経済的な側面からどのような影響を及ぼすのかを冷静に分析し、具体的なデータを示した論考は、感情論に流されがちな議論に一石を投じるものだった。
移民受け入れが格差を拡大させ、自国民の所得を増やさないという指摘は、現実を見つめた上での冷静な判断だと思う。受け入れによって恩恵を受けるのは企業やエリート層であり、一般国民はそのしわ寄せを受けるという構造は、日本においても他人事ではないと考える。
オランダの例では、非欧米出身移民の財政貢献が年間マイナス170万円とされ、さらに複数年度でマイナス幅が拡大しているというデータは衝撃的だった。この数字だけを見ても、移民が経済に与える負担の大きさが浮き彫りになっている。このような現実的な視点は、移民受け入れを推進する側にも受け止めてもらいたい。
もちろん、移民を受け入れること自体に反対しているわけではない。しかし、受け入れによって経済や社会が持続可能でなくなれば、本末転倒である。福井教授の論考は、そうしたリスクをしっかりと見据えることの大切さを教えてくれる。
移民の増加が社会に与える影響は、日本だけでなく世界各国で深刻な課題となっている。受け入れに際しては人道的な側面が強調されがちだが、受け入れ後の経済負担や治安問題についても議論を避けるべきではないと思う。
オランダやアメリカのデータを参考にすれば、日本でも同様の課題が生じる可能性は十分にある。特に労働市場の競争が激化し、低所得層の生活がさらに苦しくなることは容易に想像できる。その結果、社会の分断や対立を招く危険性が高まるだろう。
移民が増えることで治安の悪化も懸念される。文化や価値観の違いからくる摩擦は避けられないし、日本人の性善説に基づいた社会システムでは、予期せぬトラブルが発生する可能性もある。こうしたリスクを無視して移民受け入れを推進することには疑問を抱かざるを得ない。
また、労働力不足を理由に移民を安易に受け入れる政策は問題が多い。企業側の利益を優先し、安価な労働力を確保するために移民を活用する姿勢は、長期的に見れば日本人労働者の賃金低下や雇用機会の減少を招く恐れがある。
移民受け入れが企業側の都合に偏っている限り、一般国民の生活は守られないという福井教授の指摘には共感できる。こうした状況では国民が負担を強いられ、社会全体の格差が広がるだけではないだろうか。
異文化共生という理念は美しいものだが、現実はそう簡単ではない。他国の文化を押し付けられ、日本の伝統や価値観が薄れていくことへの不安は多くの人が抱いているはずだ。こうした声を無視せず、移民受け入れの是非について慎重に議論することが求められている。
移民受け入れに反対する声が多いのは、世界各国で移民問題が悪化している現状を知っているからだと思う。日本はまだ移民問題が表面化していない部分もあるが、これからの対策を誤れば同じ道をたどる危険性は十分にある。
現場で難民支援などに取り組む人々の意見も大切だが、冷静にデータをもとにした議論を重視する福井教授のような視点はもっと評価されるべきだと思う。感情的な議論ではなく、事実をベースにした建設的な議論こそが必要である。
福井教授は第一に自国民の福利を守るべきだと主張している。この考え方は非常に現実的であり、国民生活を守るという視点から見ても合理的だと感じる。
データを基にした議論は冷たく映るかもしれないが、福井教授の論考は未来の日本社会を守るためには避けて通れない問題を提示している。この視点を軽視してはならないと思う。
移民政策を進める場合でも、国民生活を守る仕組みを先に整えなければならない。安易な受け入れは、社会の分断や対立を生む原因になりかねない。
国民の正直さや素直さに依存した社会では、移民が増えることによる弊害が顕在化しやすい。安全保障や福祉制度に与える影響をもっと真剣に検討すべきだと感じた。
移民政策を考える上で、経済負担や社会の安定を損なわないことが最優先であるべきだ。日本の将来に対する責任を持った政策判断が求められる。
福井教授の論考を読むと、移民受け入れの議論をもっと掘り下げていく必要があると痛感する。美辞麗句だけでは問題は解決しないという現実を直視することが大切だ。
この問題は日本の未来に直結する重要な課題であるため、福井教授の指摘を参考にしながら、冷静で建設的な議論を重ねていくことが求められる。
執筆:編集部B