【ニューヨーク=小林泰裕】米アップルのスマートフォンなどで利用できる音声認識機能「Siri(シリ)」が利用者の会話を無断で録音し、プライバシーを侵害したとして訴えられた集団訴訟で、アップルは利用者に9500万ドル(約150億円)の和解金を支払うことで合意した。
2024年12月31日付でカリフォルニア州の連邦地裁に提出された書面によると、14年9月~24年12月にシリに対応した「iPhone(アイフォーン)」などの端末を所有・購入した米国在住の利用者が和解の対象。同地裁が和解案を承認すれば端末1台当たり最大20ドル(約3100円)の和解金を受け取れる。
訴訟は19年に始まった。原告によると、シリが意図せずに起動し、個人的な会話が無断で録音されていた。アップルはこの音声データを委託業者に送信し、内容を定期的に分析していたという。アップルはシリを使った会話の精度向上が目的で、不正行為はなかったと主張している。
[全文は引用元へ…]
【himuroさんの投稿】
引用元 https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250103-OYT1T50076/
アップルが音声アシスタント「Siri」による無断録音について集団訴訟で和解金を支払うことに合意したというニュースは、デジタル社会に生きる私たちにとって大きな衝撃を与えました。この問題はプライバシーの侵害だけでなく、テクノロジーと私たちの生活の関係を再考させるきっかけとなる重要な出来事です。
今回の訴訟は2019年に始まり、2024年12月31日に和解金約150億円の支払いが発表されました。和解の対象は2014年9月から2024年12月までにSiri対応の端末を所有・購入した米国在住の利用者で、端末1台当たり最大約3100円が支払われる予定です。
原告側はSiriが意図せずに起動し、利用者の会話を無断で録音していたと主張しています。録音データは委託業者に送信され、内容が分析されていたとされます。アップル側は、精度向上が目的であり不正行為はなかったと説明していますが、利用者のプライバシーに対する懸念を払拭するには至りませんでした。
この件に対して、多くの人々は驚きとともに強い不信感を抱いています。音声アシスタントやスマートスピーカーは、便利な機能を提供する一方で、常に私たちを監視しているのではないかという不安を抱かせる存在でもあります。
実際にコメント欄では「スマホやPC、スマートスピーカーは常に私たちを観察して記録しているのではないか」といった声が多く見られます。特に子どもがいる家庭では、その懸念はより強くなっているようです。「アレクサが子どもの会話を聞いていたのではないかと感じて怖くなった」という体験談もあり、親としての警戒心を強める要因になっています。
さらに、「デジタル機器が生活に深く入り込みすぎているのではないか」という指摘もあります。利便性を求めて導入した技術が、知らぬ間に個人情報を収集し、悪用されるリスクを抱えていることに対する危機感は年々高まっています。
こうした状況に対処するためには、企業側が透明性を高めることが求められます。今回のアップルの和解は、ユーザーからの信頼回復の第一歩ではありますが、根本的な問題解決にはまだ遠いと感じます。プライバシー保護の強化や、利用者に対する説明責任を果たすことで、ようやく安心できる環境が整うのではないでしょうか。
一方で、ユーザー自身もデジタル機器の設定や使用方法について、より慎重になる必要があります。特に音声アシスタントの使用時には、どのデータが収集されているのかを確認し、必要に応じて設定を変更することが重要です。また、子どもがデバイスを使う場合には、親がしっかり管理し、プライバシーを守るための教育を行うことも欠かせません。
この問題はアップルに限ったことではありません。GoogleやAmazonなど、同様のサービスを提供している企業もプライバシー保護への取り組みを強化する必要があります。過去にはGoogleの音声アシスタントやAmazonのAlexaも無断録音が問題視されたことがありました。これらの事例を踏まえると、ユーザーは特定の企業だけでなく、業界全体の対応を注視していく必要があるでしょう。
今後、日本でもこのような問題が取り上げられる可能性は十分にあります。特にスマートホームの普及が進む中で、監視カメラや音声認識機能を備えたデバイスが増えていくことで、プライバシーへの懸念はさらに大きくなっていくと考えられます。
日本政府としても、プライバシー保護に関する法律やガイドラインを見直し、国民の安全を守るための仕組みを強化する必要があります。デジタル社会が進展する中で、法整備が追いついていない現状は大きな課題です。
また、国民一人ひとりがリテラシーを高め、デジタル機器の安全な使い方を学ぶことも重要です。便利さを追求するだけでなく、その裏に潜むリスクについても理解し、対策を講じることが求められています。
今回のニュースは、私たちにプライバシーの大切さを改めて考えさせるきっかけを与えました。技術の進化は止められませんが、その進化とともに、私たちの権利を守るための意識も高めていかなければなりません。
これからもこの問題について注視し、テクノロジーとプライバシーのバランスをどう取っていくべきかを考える機会にしたいと思います。
執筆:編集部B