埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題が、国会や地方議会でようやく取り上げられるようになった。いずれも法務省が川口のクルド人について「出稼ぎ」と断定する報告書を出していた問題などを受けての質問。地元では交通事故や迷惑行為など「現在進行形」の問題も浮上しており、国政や県政の今後の動きが注目される。
「地域では本当に怒りが頂点に達している」
今月10日の衆院予算委員会。川口市が地元の自民党の新藤義孝前経済再生担当相は、クルド人による迷惑行為を列挙してこう訴えた。鈴木馨祐法相は「強制退去が確定した外国人は、すみやかに国から出ていっていただく」と応じた。
新藤氏はまた、難民認定申請中で仮放免中のクルド人による性犯罪の再犯事件に触れ、仮放免制度についても問題提起した。
18日には、衆院法務委で日本保守党の島田洋一氏が出稼ぎ問題に言及し、クルド人が日本で難民認定を認められず、トルコへ帰国後に迫害されるケースがあるかどうか質問。出入国在留管理庁幹部から「法務省としては把握していない」との答弁を引き出した。
島田氏はまた、昨年8月、在留資格がなく不法滞在状態で、日本生まれの外国籍の子供や家族ら約400人に当時の斎藤健法相が裁量で「在留特別許可」を与えた措置について質問。
鈴木法相は「今後、繰り返し行うことはない」と明確に述べた。
埼玉県議会では今月6日、立憲民主党系会派の白根大輔氏が出稼ぎ問題に言及。「地域住民の間でクルド人による犯罪や迷惑行為への不安が高まっている」として、外国人犯罪の状況や日本語指導について質疑を行った。
12日には自民の鈴木正人氏が出稼ぎ問題を取り上げ、議員有志で川口市を視察した際の様子を紹介。公園の破壊されたトイレや、ごみがあふれたアパート、無免許運転のクルド人の事故によって壊された家の壁などを見て回ったとし、「スーパーの駐車場をトラックの駐車場代わりに無断で使っていた。SNS上で情報を得ていたが、想像した以上だった」と述べて県の外国人対策についてただした。
一方、これまでも取り締まり強化の意見書を出すなどしてきた地元の川口市議会では、複数の自民議員らから一般質問が行われた。中には、市民生活すべてに関わる迷惑行為を禁止する「市迷惑防止条例」の制定を求める議員もいた。
自民の若谷正巳氏は「解体資材置き場ではルールやマナーを守らないクルド人ら外国人が多く見受けられ、注意すると威圧的な態度で応じ、地域住民は心身ともに病んでしまっている方も多い。本当に深刻な問題だ」と訴えた。
隣接する越谷市議会でも、自民の立沢貴明氏が出稼ぎ問題に言及した上で、同市内にも広がる解体資材置き場の規制強化について質問した。
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【産経新聞さんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20241222-LSKN6VIDSBNWXKXDZE7E3KCURM/
埼玉県川口市で表面化しているクルド人と地域住民の間の軋轢は、現在進行形の問題として大きな注目を集めています。この問題が国会や地方議会で取り上げられるようになったことは、一歩前進ともいえるでしょう。しかし、それが現場の住民たちの不安をどれだけ解消できるのかについては、今後の対応が鍵を握ると言えます。
法務省が川口のクルド人について「出稼ぎ」と断定した報告書が基となり、国会議員たちが問題を提起したことは、行政の姿勢に対する大きな問いかけとなっています。新藤義孝議員が指摘した迷惑行為や犯罪事例は、地元住民たちの感情を代弁するものであり、これまで無視されがちだった地域の声を国政に反映させる意義を示していると思います。
ただ、仮放免中のクルド人による性犯罪や迷惑行為が繰り返されている点は深刻な課題です。これに対して仮放免制度自体の見直しが提案されていますが、制度の乱用が地域社会にどのような影響を与えるのかを十分に精査する必要があります。
また、埼玉県議会や川口市議会で取り上げられた迷惑行為の具体例――公園の破壊や無断駐車、ごみ問題など――は、日常生活に直結する問題として、行政の対応が求められています。地域の住民が体験した具体的な事例が議会で共有されたことは、問題解決への一歩となるかもしれません。
ただ一方で、外国人の生活基盤を整えるための制度や施策も必要です。問題解決のためには、単なる取り締まりの強化だけでなく、適切な法整備やサポート体制の充実が求められるでしょう。日本語指導の重要性が挙げられた点も、外国人が地域に溶け込むための重要な視点だと感じます。
さらに、若谷正巳議員が訴えた「迷惑防止条例」の提案も興味深い視点です。このような条例が具体的にどのように運用されるのか、その内容次第では地域住民の安心感を高める一助となる可能性があります。しかし、過度な規制や一方的な取り締まりは新たな摩擦を生む可能性があり、慎重な検討が求められるでしょう。
この問題において、地域社会の秩序を守りつつ、外国人が日本で安心して生活できる環境を構築することが最も重要です。行政や議会、さらには住民同士の相互理解が、問題解決への鍵となることを願っています。
執筆:編集部A