日本人の国内旅行が伸び悩んでいる。昨年は新型コロナウイルス禍からの回復に伴う「リベンジ消費」が見られたもののすでに一服。物価高に加え、インバウンド(訪日客)の増加で宿泊費が高騰し、希望の日時、価格での宿泊が難しくなっている。訪日客によるオーバーツーリズム(観光公害)も客足を遠ざける一因となっている。
「5、6年前から圧倒的に多くなった」。外国人観光客について話すのは、京都市中京区にある錦市場の老舗精肉店「鳥豊」4代目店主、長谷川孝さん(63)だ。
長年、地元の食を支え、人気観光地として平日もにぎわう錦市場だが、道行く人々から日本語はほとんど聞こえてこない。通りには増加するインバウンド需要を狙い串焼きや天ぷらなどの食べ歩きグルメを用意した店舗が並ぶ。長谷川さんの店でも数年前から食べ歩きを想定したスモークハムの串などを店頭に並べ、英語表記のラベルも添えるようになった。
長谷川さんは昔ながらの個人店が姿を消していく錦市場に「さみしい気もする」とこぼした。
京都市南区の無職男性(65)は「錦市場は昔から好きな場所だが、こうした状況が続けば、行く気もうせてしまう。あまりにインバウンドが増え、通行するのも一苦労だ」と話した。
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【産経ニュースさんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20241223-LS6OEZP6FBL2LD64IO6WLKXDMI/
日本人の国内旅行が伸び悩んでいる現状には、多くの要因が絡み合っているように感じます。昨年は「リベンジ消費」という形で観光業界が活気を取り戻す兆しを見せましたが、物価高や宿泊費の高騰、そして訪日客の増加が影響して、日本人旅行者が気軽に国内旅行を楽しめない状況になっているようです。これに加えて、訪日客によるオーバーツーリズムの問題も、国内旅行への意欲を削いでいる要因と言えるでしょう。
特に京都の錦市場のような場所では、訪日客の急増による変化が顕著です。かつては地元の食文化を支える場所として日本人に親しまれていた錦市場も、今では訪日客向けの店舗が増え、外国語が飛び交う観光地に様変わりしています。観光地としてのにぎわいは歓迎されるべきかもしれませんが、地元の人々や長年通い続けてきた日本人旅行者にとって、この変化はどこか寂しさを感じさせるものかもしれません。
錦市場で長年商売を続けてきた店主の長谷川さんが「さみしい気もする」と語る気持ちには共感を覚えます。観光地としての成功を収める一方で、地域本来の姿や雰囲気が失われていくことへの懸念は、多くの地元住民や国内旅行者にとって共通する思いではないでしょうか。地元の個人店が次々と姿を消し、訪日客をターゲットとした店舗が増える光景は、地域の文化やアイデンティティが薄れていく象徴のようにも感じられます。
また、京都市南区の男性が語るように、オーバーツーリズムの問題は訪日客だけでなく、地元住民や国内旅行者にとっても深刻な影響を及ぼしています。観光地が混雑し、歩くのも一苦労という状況は、旅行の楽しさを半減させるものです。こうした環境では、わざわざ時間とお金をかけて旅行に行くことへの魅力が薄れてしまうのも無理はありません。
物価高や宿泊費の高騰も、日本人旅行者の国内旅行を妨げる要因として見逃せません。インバウンド需要が増加する中で、ホテルや旅館の価格が高騰し、さらに希望する日時に予約が取りづらくなる現状は、日本人にとって旅行を身近なものではなくしているように思います。このような状況では、観光地に対する心理的な距離も広がり、国内旅行がますます敬遠されるのではないでしょうか。
しかし、観光業界にとってインバウンド需要は重要な収入源であり、これを否定するわけにはいきません。問題は、訪日客と日本人旅行者が共存し、どちらも快適に観光を楽しめる環境をどのように作り出すかです。そのためには、観光地のインフラ整備や訪日客の受け入れ体制の見直しが必要だと感じます。また、観光地の文化や歴史を守りつつ、地元の魅力を最大限に活かす方策を模索することが重要です。
例えば、訪日客と日本人旅行者の動線を分けることで混雑を緩和し、それぞれが快適に観光を楽しめるようにする取り組みが考えられます。また、地元文化を尊重し、個人店が存続できる環境を整えるための支援策も必要だと思います。地元住民や国内旅行者が誇りを持てる観光地を維持することが、地域の魅力を高め、国内外の旅行者を惹きつける鍵になるのではないでしょうか。
現状を見る限り、国内旅行が以前のような活況を取り戻すにはまだ時間がかかりそうです。しかし、今回のような課題をきっかけに、日本人旅行者が気軽に国内旅行を楽しめる環境を取り戻す努力が進むことを期待したいと思います。旅行は単なる娯楽ではなく、人々が地域の文化や歴史に触れ、新しい発見をする貴重な機会です。それが日本国内でより多くの人々に楽しんでもらえるようになる日を願っています。
執筆:編集部A