宮城県の村井嘉浩知事は23日の記者会見で、土葬が可能な墓地を県内に設ける必要性に言及した。宗教的に土葬を望むイスラム教徒を念頭に「外国人が増えていくと、結婚して家庭を持つ人もいる。日本人でイスラム教に改宗し、土葬を望む人もいると思う」などと説明した。
国内は火葬が99・9%以上だが、墓地埋葬法で土葬は禁じられていない。県の担当課によると、土葬ができるムスリム墓地は全国で6自治体にあるという。
土葬墓地の設置を検討するのは、村井氏が数年前に、多文化共生社会の実現について外国人らと意見交換した際、イスラム教徒から「非常に困っている。日本で家庭を持ち、宮城で埋葬してほしいという思いを持っているが、墓がない」との意見が寄せられたことも踏まえている。この日の会見では「東北に一つもないのは課題ではないか」とも言及した。
村井氏は会見で「日本で家庭を持っている人や、単身で来て日本でしか埋葬できない人もいる。その人たちの希望に応えることも重要だ」と述べ、「多文化共生社会といいながら、そういう所に目が届いていないのは行政としていかがか。批判があってもやらねばならない」と強調した。
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【産経新聞さんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20241224-5OVSDD356BHZ3IQWCOLTZW37IA/
宮城県の村井嘉浩知事が土葬墓地の必要性について言及したニュースには、正直なところ疑問を感じました。日本における葬送の文化や現状を考えると、この提案が本当に適切なのか、慎重に検討する必要があるように思います。火葬が日本で99%以上の普及率を誇る背景には、土地の有効活用や衛生管理など、実用的で合理的な理由があるからです。
まず、土地の問題が頭をよぎります。土葬には広い土地が必要とされますが、日本は国土が狭く、平地も限られています。特に都市部では土地不足が深刻で、住宅や公共施設の需要が高い中で、土葬墓地のためにスペースを割くことが適切かどうか疑問です。人口密度が高い地域では、近隣住民の理解を得るのも難しいでしょう。また、防災や環境保護の観点からも、土地の利用計画は厳密に行われるべきです。
さらに、衛生面での懸念も無視できません。火葬が主流である理由の一つに、感染症のリスクを最小限に抑えられるという点があります。土葬は遺体が直接土壌に接するため、衛生面での課題が伴います。特に、人口密集地や水源地の近くでは、そのリスクが顕著になる可能性があります。こうした懸念を十分に解消しないまま進めるのは、地域社会に不安を与える結果にもなりかねません。
また、伝統的な文化や価値観との調和も課題です。日本では長年、火葬が中心の葬送文化として根付いてきました。これには宗教的な要因だけでなく、歴史的な背景や実利的な理由も関係しています。こうした慣習を急に変更するような試みが進められると、地域社会に混乱を招く可能性が高いでしょう。多文化共生を掲げることは大切ですが、それが既存の文化や価値観を無視する形で進められるべきではありません。
さらに気になるのは、このような取り組みがどれほどの需要に応えるものなのかという点です。イスラム教徒を含む一部の宗教的ニーズに対応するために、多くの時間と労力、そして費用をかけて土葬墓地を整備することが本当に必要なのか、もっと具体的なデータや議論が求められるように感じます。一部の声を尊重することは重要ですが、それが全体にどのような影響を及ぼすのかを慎重に考えるべきです。
村井知事の提案に対する姿勢や決意には敬意を抱きますが、このようなテーマを進める上では、地域住民との十分な対話が欠かせません。特に、批判を受け入れる覚悟があると言いつつも、それが地元の人々の不安を軽視するように映らないよう配慮が必要です。多文化共生を実現するためには、異なる意見や価値観にも耳を傾け、それらを尊重する姿勢が欠かせません。
こうした背景を踏まえると、土葬墓地の設置は慎重に進めるべきであり、まずは火葬文化との調和を模索しつつ、多文化共生を実現する別のアプローチを検討することが望ましいように感じます。たとえば、宗教的儀式に対応した火葬施設の整備や、イスラム教徒のための特別な供養方法を模索するなど、他の選択肢も議論されるべきでしょう。
日本社会における多文化共生を進める試み自体は大切ですが、それが一方的な形で推し進められるべきではありません。地域の声に耳を傾けながら、現実的で実効性のある解決策を模索してほしいと思います。
執筆:編集部A