2024年6月5日
鹿児島県警察本部の元生活安全部長が内部文書を第三者に漏らしたとして逮捕された事件で、勾留の理由を明らかにする手続きが鹿児島簡易裁判所で行われ、元部長は文書を記者に送ったとしたうえで「県警職員が行った犯罪行為を県警本部長が隠蔽しようとしたことがあり、いち警察官としてどうしても許せなかった」と述べました。
鹿児島県警察本部生活安全部の元部長、本田尚志容疑者(60)は、退職後のことし3月下旬、個人情報などを含む警察の内部文書を第三者に郵送し、職務上、知り得た秘密を漏らしたとして、国家公務員法違反の疑いで先月31日に逮捕されました。
警察は流出した内部文書の詳しい内容については明らかにしていません。
この事件で5日、鹿児島簡易裁判所で勾留理由を明らかにする手続きが行われ、元部長が出廷しました。
元部長は内部文書を記者に送ったことを明らかにしたうえで、その理由について「県警職員が行った犯罪行為を鹿児島県警の野川本部長が隠蔽しようとしたことがあり、そのことがいち警察官としてどうしても許せなかった」と述べました。
流出した内部文書には枕崎警察署の巡査部長が逮捕され、3日に起訴された盗撮事件への警察の対応の状況などが記されていたということです。
この事件について元部長は「早期に捜査に着手し事案の解明をしようと本部長に指揮伺いをしたが『最後のチャンスをやろう』『泳がせよう』と言って印鑑を押さなかった。県民の安全より自己保身を図る組織に絶望した」と述べました。
元部長の発言について、鹿児島県警は「現在捜査中の事件の容疑者の供述内容についてのコメントは差し控える」としています。
裁判所での手続きのあと、元部長の担当の永里桂太郎弁護士は記者団の取材に対し「私利私欲のためではなく、公益のために愛していた組織をよくしたいという思いでやった。勾留は不当で早急に釈放を求める」と述べました。
5日、勾留を取り消す請求を裁判所に行ったということです。
鹿児島県議会で行われた5日の一般質問で、県警察本部の野川明輝本部長は、県警生活安全部の元部長が逮捕されたことについて「職員の模範となるべき元幹部が逮捕される事案が明らかになり、県民に不安とご迷惑をおかけしていることに改めておわび申し上げる」と陳謝しました。
また、相次ぐ警察官の不祥事の再発防止策については「職員の個性や特性に配慮した個別教育が十分なされなかったことに課題を感じている。個性や立場を意識した教育を粘り強く不断に実施することが重要と考えていて、こうした取り組みによって個人の資質の向上を図っていく」などと述べました。
議会終了後、野川本部長は報道陣の取材に応じることなく、県議会をあとにしました。
引用元 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240605/k10014472271000.html