12月17日、スリランカ人男性が難民認定や在留資格に関する不認定・不許可処分の取り消しを請求して提起した訴訟で、訴えを却下する判決が出された(東京地裁)。
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今回の判決で、裁判所は「スリランカ政府に迫害者を食い止める力が無いとはいえない」として、ナヴィーンさんの難民該当性を否定した入管の判断を追認した。 また、在留特別許可についても「婚姻関係は不法残留という違法状態の上に築かれたものだった」として退けられた。
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【由美さんの投稿】
引用元 https://www.ben54.jp/news/1782
スリランカ人男性が難民認定と在留特別許可を求めた訴訟で、東京地裁が原告の訴えを棄却したというニュースを見て、いくつかの疑問が浮かびました。この判決では、難民認定や在留特別許可が認められない理由として「スリランカ政府に迫害者を食い止める力が無いとはいえない」とし、婚姻関係についても「違法状態の上に築かれたもの」と判断されたとのことです。
まず、今回の男性がスリランカで迫害を受けたという主張には、真実味がどれほどあるのか疑問を抱かざるを得ません。確かに、過去には内戦や政治的な対立がありましたが、現在のスリランカにおいて、政府が迫害を防ぐ能力がないと断定するのは難しいでしょう。裁判所がその点を重視し、難民該当性を否定したのも理解できる部分です。
また、男性が日本に滞在し続けた理由には「帰国すれば命の危険がある」というものが挙げられていますが、本当にそれほどの危機があったのか、もっと詳細に検証する必要があったのではないかと感じます。スリランカ国内での具体的な状況や、男性が日本を選んだ経緯についての情報が不足しており、そこに疑念を抱く人も多いでしょう。
さらに、在留資格の問題について考えると、オーバーステイの状態が長期間続いていたことは、制度上の問題ではなく本人の行動に起因するものだといえます。不法残留は日本の法律に違反している行為であり、それを前提にして構築された婚姻関係について、法的な正当性を主張するのは難しいでしょう。このような背景から、偽装結婚や滞在ビザ目的の可能性を指摘する声が出てくるのも無理はありません。
また、日本の難民認定制度が他国と比べて厳しいと言われる中で、難民認定が不認定となる事例が多いことは事実です。しかし、その背景には日本が抱える制度悪用への懸念があることを忘れてはなりません。世界中で難民認定を利用して不法滞在や労働を行う事例が報告されている中、日本が慎重な対応を取るのは当然のことです。特に、偽装結婚などが行われた場合、それが制度全体の信頼性を揺るがす可能性もあります。
さらに、在留特別許可については人道的配慮が求められる場面も多いですが、今回のケースではその基準を満たすとは言えなかったのでしょう。日本の制度は、あくまで正規の手続きを前提としています。そのため、違法な状態で婚姻関係が築かれた場合、特例を認めることで他の違法行為を助長するリスクも考えられます。
一方で、夫婦として生活をしてきた時間がある以上、人道的な観点をどこまで考慮すべきだったのかも重要なポイントだと思います。長期間にわたって日本で暮らし、日本人の妻と共に生活を築いてきた事実をどのように評価するかは、今後の制度の運用において議論すべき課題でしょう。しかし、個別の事情をすべて認めてしまうと、制度の公平性が損なわれる可能性もあります。
また、日本では少子化や労働力不足が問題となっており、外国人労働者の受け入れが進んでいますが、その一方で在留資格や難民認定に関する制度が十分に整備されていないように感じます。特に、今回のようなケースでは、法律と現実の間にあるギャップが浮き彫りになったと言えるでしょう。今後、国際社会の一員として、どのように外国人と共存していくかについて、さらなる議論が必要です。
この判決が示しているのは、日本の法制度の厳格さと、それに伴う社会的影響の両方です。法律を守ることが重要である一方で、国際社会の一員としての柔軟性や人道的配慮が不足している点も否めません。特に家族が絡む案件では、単なる法的判断にとどまらず、より広い視野で問題を捉える必要があると感じます。
今回の判決を機に、日本の難民認定制度や外国人政策についての議論が深まることを期待します。法律と人道的配慮のバランスをどのように取るべきか、私たちも一緒に考えるべき時が来ているのではないでしょうか。
執筆:編集部A