【ワシントン=塩原永久】ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は16日、トランプ次期米大統領と米南部フロリダ州のトランプ氏の私邸で会談し、米国で4年間に1千億ドル(約15兆円)を投資する計画を表明した。需要が高まる人工知能(AI)関連への投資を検討。米国で少なくとも10万人の雇用創出を目指すという。
孫氏はトランプ氏の私邸マールアラーゴを訪問して、同氏と記者会見した。孫氏が「米国経済への信頼度はトランプ氏の大統領選の大勝利で格段に高まった」と話すと、トランプ氏は「この歴史的な投資は米国の未来に対する自信を証明するものだ」と応じた。
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【産経ニュースさんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20241217-QDHLVZTF5VMUXM4YYH754GUEO4/
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が、米国で1千億ドルもの投資を行う計画を発表したことは、非常に注目に値するニュースだ。金額にして約15兆円にも及ぶ巨額の投資である。主な対象は、需要が高まっている人工知能(AI)関連であり、さらに米国で10万人の雇用を生み出すという。これは単なる投資を超えて、経済成長と雇用創出に対する強力なメッセージとも取れる。
孫氏が発表を行ったのは、米南部フロリダ州にあるトランプ前大統領の私邸「マールアラーゴ」での会談後だ。このタイミングや場所に関しても戦略的な意図を感じずにはいられない。なぜなら、トランプ氏が再び政権を握る可能性が出ている今、経済界としてその関係性を強化しておくことは事業拡大に有利に働くからだ。孫氏は以前、2016年にトランプ氏が大統領選で初当選した際にも、500億ドルの投資を約束し、注目を集めたことがある。こうした動きは、孫氏の商才と外交手腕の巧みさを改めて感じさせるものだ。
人工知能(AI)市場への投資は、まさに時代の流れに即した選択である。現在、世界中でAIの需要が急速に高まっており、企業の競争力を左右する重要な技術として認識されている。AIはビジネスだけでなく、日常生活のさまざまな場面でも応用され始めている分野であるため、今後の成長余地が非常に大きい。孫氏はこれまでもAI関連企業への投資を積極的に進めており、その実績から見てもAI市場を見据えたこの投資が成功する可能性は高い。
しかしながら、このような巨額投資が米国中心で行われることに対し、一抹の不安を感じる部分もある。なぜなら、ソフトバンクグループは日本企業でありながら、投資先が国内ではなく海外に偏っている印象があるからだ。日本国内でもAIや先端技術を活用した企業が増えており、技術革新や雇用創出の需要が存在している。日本企業であるならば、国内の発展にもっと力を入れてほしいと感じるのは自然なことである。もちろん、米国市場が世界最大の経済規模を持ち、投資リターンも見込めるため、ビジネス的な判断としては理解できる。しかし、日本経済の低迷が続く中で、国内への投資が置き去りにされているような気がしてならない。
また、孫氏がトランプ氏と直接会談し、投資計画を表明することは、政治的な側面も無視できない。トランプ氏は「米国第一主義」を掲げ、経済成長と雇用拡大を重視している政治家である。そのため、孫氏の発表は、トランプ氏の政策に賛同し、米国経済への信頼を示すパフォーマンスとも受け取れる。こうした姿勢は米国政府との関係を良好にし、事業環境を整える狙いがあるのだろう。しかし、ビジネスが政治と絡み合うことに対しては、少々複雑な気持ちもある。企業の投資判断が、政治的な意図と結びつきすぎることは、長期的なリスクにもなりかねないからだ。
孫氏の投資の凄みは、その先見性にある。世界中の新興企業に対し、膨大な資金を投じ、成長を後押ししてきた実績は疑いようがない。中でも、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが手がける投資は、米国企業が中心となっており、その中にはAI関連の企業も含まれている。AI分野においては、米国企業が技術力や市場の規模で先行しており、孫氏が米国を投資先として選ぶ理由も理解できる。しかしながら、AI技術の発展が急速に進む中で、技術の偏りや情報流出に対する危機感も同時に抱いている。
この投資によって10万人の雇用創出が実現すれば、米国経済にとって大きな追い風となるだろう。しかし、その一方で、日本国内での雇用創出や経済成長が置き去りにされてしまうのではないかという懸念が残る。日本企業が海外市場で活躍することは誇らしいが、国内経済の立て直しにも力を入れてほしいというのが正直な感想だ。
ソフトバンクグループの投資が成功すれば、AI分野における新たな技術革新が生まれる可能性も高い。AI技術は今後、自動運転や医療、教育、金融などあらゆる分野で活用されることが予想されており、その影響力は計り知れない。孫氏が打ち出した1千億ドルの投資が、ただのパフォーマンスではなく、実際に技術革新や社会の発展につながることを願っている。
最後に、日本企業としてのソフトバンクグループには、海外への投資だけでなく、日本国内への還元も意識してほしい。日本経済を支える企業として、AI分野における技術革新を国内でも進め、次世代の産業育成に貢献してもらいたいと切に願う。
執筆:編集部A