【himuroさんの投稿】
引用元 https://x.com/himuro398/status/1868244734436954480
日本政府が2030年までにインバウンドを6000万人に倍増させ、自動車以上の外貨産業に育てるという目標を掲げていることについて、率直に考えさせられました。観光業が日本経済に与える影響は確かに大きいですが、目標達成に向けての課題も多いと感じます。
まず、この目標設定自体に疑問を抱かざるを得ません。インバウンド需要を増やすことは日本の地域活性化や経済成長に繋がるとされていますが、観光客数を単純に増やせばそれがすべて成功に結びつくわけではありません。大量の観光客を受け入れるためには、インフラ整備や人材育成、地域の準備が欠かせませんが、これらの課題が十分に解決されていない現状で、数値目標だけが先行している印象を受けます。
特に地方都市では、観光インフラが不足している地域が多いです。例えば、公共交通機関が不便な場所や宿泊施設が十分でない地域では、観光客を増やすための具体的な施策が必要です。また、観光地における「オーバーツーリズム」の問題も深刻です。すでに京都や東京では観光客の増加によって住民生活に影響が出ているとの声が上がっています。観光業を「外貨産業」に成長させるためには、観光客の質を高め、持続可能な形で発展させることが求められると思います。
さらに、外国人観光客がどのような形で日本に貢献するのかも議論が必要です。確かに観光客が日本で消費を増やせば、経済効果は大きくなります。しかし、一方でインバウンド政策が日本人にとっての利便性や生活の質を犠牲にする形になっては本末転倒です。観光客増加を目指すのであれば、観光地だけでなく周辺地域も含めて経済効果が行き渡る仕組みを整えることが重要です。
また、観光客を増やすための施策も慎重に考えるべきです。多くの場合、観光客を呼び込むための施策として税金が投入されますが、その投資が十分なリターンを生む保証はありません。過去の事例を見ると、観光政策が成功しなかった例も少なくありません。政府が目標を掲げる以上、具体的な計画と成果を見える形で示すべきだと思います。
インバウンド6000万人という数字を達成するためには、日本の観光地や文化に魅力を感じてもらうことが必要ですが、そのためには日本の文化や伝統を守りつつ、観光客のニーズに応えるバランスが求められます。例えば、観光地でのマナー問題や文化の破壊が懸念されています。観光客を増やすことだけを目的にするのではなく、日本の良さを正しく伝える努力が重要です。
このような課題が山積する中で、日本政府が掲げる「外貨産業として観光業を成長させる」という目標がどこまで現実的なのか疑問を感じます。観光業は確かに経済成長に寄与する可能性がありますが、それだけに依存するのは危険です。特に、新型コロナウイルスの影響で観光業が大きな打撃を受けた経験から、観光業以外の外貨獲得手段も併せて模索する必要があるのではないでしょうか。
また、この政策が観光業界や地域経済にどのような影響を与えるのかを十分に検証しなければなりません。観光客の増加が地方経済の活性化に結びつくとされていますが、実際には都市部ばかりが恩恵を受け、地方には十分な波及効果が生まれないという問題もあります。地方創生を掲げるのであれば、観光業を軸にした一極集中ではなく、地方全体で恩恵を共有できる仕組みを整備するべきです。
私自身、観光業の成長を否定するつもりはありませんが、その進め方には慎重さが必要だと思います。6000万人という大きな目標を掲げるのではなく、まずは現実的な課題を一つひとつ解決していくべきではないでしょうか。その上で、観光業が日本経済全体にどのように貢献できるのかを明確に示すことが求められると思います。
執筆:編集部A