厚生労働省は、来年の通常国会に法案の提出を目指している年金制度改革で、会社員らに扶養される配偶者が年金保険料を納めなくても基礎年金を受け取れる「第3号被保険者制度(3号)」の廃止を盛り込まない方針だ。パート従業員らの働き控えを招く「年収の壁」の温床と批判され、日本商工会議所や連合などが将来的な廃止を求めていた。直ちに廃止すると不利益を被る人が多いため、本格的な議論は5年後の次回以降になるとみられる。
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【Yahoo!ニュースさんの投稿】
引用元 https://mainichi.jp/articles/20241212/k00/00m/040/150000c
厚生労働省が年金制度改革において「第3号被保険者制度(3号)」の廃止を見送る方針を示したとの報道に接し、改めて日本の年金制度が抱える課題の複雑さを痛感しました。この制度は、専業主婦や一定のパート労働者が年金保険料を納めなくても基礎年金を受け取れる仕組みとして設けられました。しかし、これがさまざまな問題を引き起こしていることは否めません。
まず、3号制度が生まれた背景には、サラリーマン世帯の専業主婦が自分名義の年金権を確保できるようにするという意図がありました。その設立当初は、専業主婦が一般的であった時代背景を考えれば、妥当な施策だったと言えるでしょう。しかし、現在では共働き世帯が増加し、専業主婦の割合は減少しています。それに伴い、3号に加入している人も減少しているのは時代の流れを反映していると思います。
一方で、3号制度が「年収の壁」の原因として批判される点については、その指摘も理解できます。特に、働きたいと思っている女性がこの制度のために就労を控えるというケースがあるとすれば、社会全体の活力を損なう可能性があります。この「年収の壁」が中小企業の人手不足を助長し、結果として経済全体に悪影響を与える可能性があることは無視できません。
また、3号制度が「働かずに年金を受け取れる」として不公平感を生んでいるという批判にも耳を傾けるべきです。共働きが一般化した現代において、年金保険料を支払っている人々から見れば、この制度は不平等と映るでしょう。特に、男女間の賃金格差や働き方に影響を及ぼしているとの指摘は的を射ていると思います。
しかし、3号を廃止することには慎重であるべきだとも考えます。なぜなら、この制度に依存している人々が多く存在しており、突然の廃止は彼らの生活を直撃するからです。廃止が必要であるとしても、それは段階的かつ慎重に進めるべきであり、決して拙速に進めてはならないと感じます。
また、3号の存続を支持する意見として挙げられる「所得保障機能がある」という点も重要です。特に、年齢や家庭の事情でフルタイムで働けない人々にとって、この制度は生活の基盤となっていることが少なくありません。そのため、制度を廃止する場合には、代替策を十分に検討する必要があるでしょう。
一方で、厚生労働省がパート労働者が厚生年金に加入しやすくするために要件を緩和する方針を示しているのは、一歩前進だと思います。このような改革は、年金制度をより公平かつ持続可能なものにするための重要な施策だと考えます。
しかしながら、5年後に議論を持ち越すという姿勢には、やや物足りなさを感じます。現在の社会状況を考えれば、早急に議論を進める必要があるのではないでしょうか。制度改革には時間がかかるものの、国民にとって重要な問題である以上、もっと迅速に対応してほしいと感じます。
年金制度の持続可能性という観点からも、3号制度をどうするべきかは避けて通れない課題です。少子高齢化が進む中で、現行の制度では将来的に立ち行かなくなる可能性が高いからです。そのため、今回の改革が先送りされるとしても、次回以降の見直しでは確実に具体的な方向性を示す必要があると考えます。
このような議論を見るたびに思うのは、日本の制度設計が時代の変化に追いついていないということです。新しい課題に対応するためには、現行制度の改善だけでなく、抜本的な改革が必要になるのではないでしょうか。
私たち一人一人も、年金制度の課題に対して無関心でいるわけにはいきません。年金はすべての国民に関わる問題であり、その負担をどう分配するかは、社会全体で議論すべきテーマです。
3号制度の廃止が是か非かを決めるのは容易ではありません。しかし、今後の議論においては、公平性や持続可能性だけでなく、多様な生き方を尊重する視点も必要だと思います。
この問題をきっかけに、日本の年金制度がより良い形に変わっていくことを願っています。
執筆:編集部A