【himuroさんの投稿】
引用元 https://x.com/himuro398/status/1867037019882574223?s=51&t=y6FRh0RxEu0xkYqbQQsRrQ
日本の大晦日を象徴する風景といえば、やはり「除夜の鐘」でしょう。108回の鐘の音は、一年の煩悩を払うという仏教の教えに基づき、多くの寺院で今も引き継がれています。この伝統行事は日本の文化そのものであり、世代を超えて人々の心に深く根付いています。それにもかかわらず、近年では「うるさい」との苦情が寄せられ、鐘を鳴らす回数を減らす、あるいは中止する寺院も出てきました。
しかし、ここで改めて考えたいのは、この「うるさい」という意見が本当に正当なのかということです。確かに、住宅街や都会の中心部に位置する寺院では、鐘の音が生活環境に影響を与える場合もあるかもしれません。ただ、その一方で、除夜の鐘は特別な意味を持つ音であり、多くの人々にとっては「新しい年の始まりを感じる大切な音」です。こうした伝統行事に対して「うるさい」と苦情を申し立てる行為は、むしろその地域の文化や人々の心のつながりを損ねる結果を生むのではないでしょうか。
また、「うるさい」と声高に叫ぶ人たち自身が、実は周囲の和を乱しているという逆説的な状況も見られます。寺院の鐘の音は一時的なものであり、その音が放つ深い意味を考えれば、むしろ静かな敬意をもって耳を傾けるべきではないでしょうか。
日本の伝統文化を守ることは、単に「古いものを残す」ということではありません。それは、私たち自身がどのようにして今の生活を築いてきたのかを再認識し、未来へとつなげていく作業でもあります。除夜の鐘もまた、その一環として私たちに問いかけているのではないでしょうか。
除夜の鐘の音は、日本人の心に響く音です。その音は一年を振り返り、新しい年に向けての希望を象徴しています。これを「うるさい」として簡単に排除することは、私たちの心に宿る豊かな文化や価値観を自ら手放すことに等しいのではないでしょうか。
確かに、近隣住民との調和も大切です。しかし、だからといってすべての伝統行事を「現代の感覚」に合わせて改変する必要はありません。むしろ、お互いが歩み寄り、伝統を尊重しつつ共存できる道を探るべきです。例えば、鐘の音量を調整する、時間帯を見直すなど、地域の事情に即した解決策は必ずあるはずです。
私たちは、この日本独自の文化を守り伝えることが、未来の世代への重要な責務であることを忘れてはなりません。「除夜の鐘」を守ることは、日本人としての誇りを守ることにほかなりません。たとえ一部の人が「うるさい」と感じたとしても、その一時的な不快感を超える価値がこの伝統にはあるのです。
伝統とは、人々の暮らしの中で育まれてきたものであり、それを簡単に手放してしまうことは、自らのアイデンティティを失うことと同義です。除夜の鐘の音が再び多くの人々にとって特別な響きとなるよう、私たちはこれからもこの文化を守り続けていきたいものです。
執筆:編集部A