台湾の国家安全当局者は10日、中国が日本の南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」の内側を中心に海軍と海警局の艦船計90隻超を展開させていると明らかにした。中国による過去最大規模の「海上軍事行動だ」と指摘。米国が政権移行期であることを踏まえ、中国には第1列島線内の支配を誇示する狙いがあると分析した。
当局者によると、90隻超のうち海軍艦が3分の2で、残りが海警局の艦船。第1列島線内の東シナ海、台湾海峡、南シナ海に広く展開。海軍艦は模擬攻撃訓練などを行い、海警船は臨検などを訓練しているとしている。
台湾当局は、頼清徳(ライ・チンドォー)総統が太平洋諸国を歴訪する際に米ハワイや米領グアムを経由したことを口実に、中国が軍事的圧力を強めるとみていた。
同当局者は、中国が今回の軍事行動を発表していない理由について、今月中旬に予定されている台北市と上海市の都市交流などに配慮した可能性があると指摘した。
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【東雲くによしさんの投稿】
引用元 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB10CMZ0Q4A211C2000000/
中国が日本の南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」の内側で過去最大規模の海上軍事行動を展開しているという報道は、日本をはじめとする関係国にとって深刻な懸念材料です。この動きが台湾海峡や東シナ海、南シナ海といった重要な海域に広がり、90隻を超える艦船が展開しているとの情報には驚きを隠せません。
特に注目すべきは、この行動の規模と背景です。海軍艦が3分の2を占め、模擬攻撃訓練を行っていることから、中国が単なる示威行動を超えた具体的な軍事力の行使を視野に入れている可能性を否定できません。また、海警局の艦船も臨検訓練を実施していることから、民間航路に対する影響力を強化し、海洋権益を主張する狙いが透けて見えます。
さらに、米国が政権移行期にあるタイミングで、このような行動を起こすのは計画的な動きと見て間違いないでしょう。米国の注意が国内に向かう時期を狙い、第1列島線内での存在感を誇示し、地域のパワーバランスを変えようとしているのではないかと考えられます。
台湾当局の指摘にも注目する必要があります。頼清徳総統の太平洋歴訪や米国寄港が中国側の圧力強化の口実になったとの見方は、現在の国際情勢の複雑さを物語っています。中国がこの軍事行動を発表していないことについても、外交関係や地域交流を損ねたくないという思惑があるようです。台北市と上海市の都市交流に配慮しているとされますが、それ自体が一種の情報戦略とも言えるでしょう。
日本にとってもこの状況は他人事ではありません。日本の南西諸島はこの「第1列島線」に含まれ、地域の安定に直接的な影響を受ける位置にあります。中国の動きに対抗するには、同盟国や地域のパートナーと連携し、防衛力の強化や海上監視の強化を進める必要があります。
また、東アジアの安定には国際社会の結束が欠かせません。中国の動きをけん制するためには、日本を含む関係国が一致団結し、国連や国際会議を通じて適切なメッセージを発信することが求められます。
この状況は、単に地域の一時的な緊張にとどまらず、長期的な影響をもたらす可能性があります。日本が国際社会の一員として、この問題にどう対応していくかが問われています。
執筆:編集部A