京都府内に住む外国人が、過去最多ペースで増えている。昨年末時点で7万4664人となり、コロナ禍前と比べて1万人以上増えた。留学や技能実習、家族滞在の伸びが大きく、特にベトナム、ネパールからの来日が目立っている。府のデータを読み解いた。(上村真也)
過去10年のデータを見ると、府内の外国人住民は右肩上がりで、2018年に初めて6万人を超えた。コロナ禍の影響で21年に再び5万人台に戻ったが、渡航制限の緩和などを受けて22年に急回復。この傾向は今年に入っても続いている。
国籍別にみると、最多を占めてきた「韓国・朝鮮」はむしろ減少傾向にある。特別永住者の帰化や死亡が増えているためだ。一方、中国(台湾含む)は、コロナ禍を経て急回復しており、「韓国・朝鮮」を上回るのは時間の問題とみられる。
10年前は1000人に満たなかったベトナム人は9350人にまで増え、フィリピンなどを抜き3番手になった。企業の人手不足などを背景に、技能実習や特定技能での来日が定着してきており、工場などの働き手となっている。
新たな動きとして注目されているのがネパールだ。京都市内でも、ネパール国旗がはためく飲食店が急増。日本語学校で学ぶ若者も増えている。ネパールは国内産業に乏しく、海外に活躍の場を求める人が増えているという。京都市内で飲食店を営む40歳代のネパール人男性は「京都は住みやすいとネパールでも話題になっている。最近では家族や親族を招くケースも増えている」と話す。
在留資格別で目立つのは留学生だ。全国に比べても伸び率が高く、「大学の街でもある京都の特性が影響している可能性が高い」(府国際課)という。22年5月時点で1万4205人が学び、その後も増加傾向にある。
最長2年の日本語学校に比べ、大学はじっくり時間をかけて学ぶため、コロナ禍の瞬間的な影響も表れにくかった。留学生スタディ京都ネットワークの調査では、大学や短大で学ぶ1万1238人のうち、中国、韓国、台湾で8割を占めた。 市町村別の状況をみると、外国人住民の79%が京都市と宇治市に集住している。
近年目立つのは、府南部での増加だ。府国際課のまとめ(昨年12月時点)によると、人口に占める外国人比率が高いのは久御山町(6・7%)、宇治田原町(5・24%)、京都市(3・85%)、八幡市(3・69%)、井手町(3・67%)の順になっている。
2555人の外国人が住む八幡市は外国人人口の増加率(18年から5年間)が76%。全国の自治体で3位だった。近隣の企業が、多くのベトナム人実習生をまとめて雇用していることが背景にある。
同市では、外国人住民の半数が男山団地に居住。当初はゴミ捨てや騒音などトラブルも起きたが、パンフレットを作ったり、日本人との交流会を開いたりして、改善に取り組んでいる。
昨年には、災害に備えて外国人にも「防災リーダー」として活動してもらおうと、避難訓練を実施した。参加者からは「日本人と交流できて良かった」との声が寄せられており、同市市民協働推進課の担当者は「お互いの顔が見える関係を作っていきたい」と話す。
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/17ee4e91e687ddd21f4e5a5392dd25631705f60f?page=1