先月出版された駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏の新刊『日本再発見』(星海社新書)が非常に面白い。日本の良さをまさに再発見できると同時に、日本の国力の源泉について確認することもできる。
レジャバ氏は1988年生まれというからまだ30代の若い外交官だ。父上の仕事の都合で4歳の時に来日し、その後、母国ジョージアに帰国した時期もあったものの、ほぼ日本で小中高大の教育を受け、会社員も経験している。大変な知日家である。
レジャバ氏が強調するのは、日本の普通の人々のレベルの高さである。例えば、街の清掃員だ。日本を訪れた外国人は「日本は道もトイレも、どこへ行ってもきれいだ」と驚く。これには、ひとり一人の衛生観念の高さもあるが、清掃員の質の高さの表れでもあると指摘する。
さらにレジャバ氏が驚嘆するのが、日本人の多くが、仕事に関係がない活動にも最大限に力を入れて取り組むという点だ。保育園の保護者会、学校のPTA活動、さまざまな趣味の集まり、街のゴミ出し――。お金にならない事柄であっても、時間をかけて議論し、細かいところまで気を遣い合い、責任感をもってこなしていく人が非常に多い。
レジャバ氏は「日本人は『普通の人』が普通でないくらいにすごい。基本的なレベルが高い」と繰り返し、「このことについて、もっと自信をもっていい」と論じる。
私も同感だ。普通の人々が高い職業倫理や社会的責任感を持っていることこそ、日本の国力の最大の源泉だと思う。
東日本大震災やコロナ禍のような危機的状況でも、頼りになったのは普通の日本人の意識の高さだった。今年初めの羽田空港での航空機衝突事故でも、日航機側の乗員・乗客が全員無事に脱出できたのは彼らの見事な連携の賜物(たまもの)だった。
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引用元 https://www.sankei.com/article/20240520-MPB5HIIYLNMNPLUMTN6OIN5A6I/