沖縄県が米ワシントン事務所を運営するため、営業実態のない株式会社を米国に設立していた問題は、事実に反する書類で米政府に駐在職員の就労ビザ(査証)を申請していたことが判明し、存廃を巡る議論に発展した。いびつな実態は会社設立から約9年間、県議会にも報告がなく、県民の目に触れる公文書にも記載されていなかった。米軍基地の県内移設阻止を掲げた知事の「独自外交」という異例の政策の水面下で、何が起きていたのか。(横山潤)
「本庁で株式会社設立の手続きを行ったことは確認できていない」。今月上旬の県議会特別委員会。「起案・承認は誰が行ったのか」と問われた県幹部は、こう答えるのがやっとだった。
県などによると、事務所は 翁長雄志 前知事(故人)時代の2015年4月、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対などを米側に直接訴える目的で開設された。米国務省からは当初、「政治的だ」との理由で非課税事業者としての登録に難色を示された。
駐在職員のビザが取れなければ活動はできない。米国弁護士の助言を受け、企業の転勤者向けに発給される「L」ビザの取得を模索した。県の100%出資で株式会社「沖縄県ワシントン事務所」を設立し、ビザを取得。提出した資料では職員の肩書を「社長」「副社長」などとしていた。
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【のんべ安さんの投稿】
引用元 https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20241123-OYTNT50016/
沖縄県が設立した米国での株式会社に関する問題は、公正な行政運営の在り方を問う深刻な事例だと感じます。このような形で公的資金が使われ、かつ県議会にも報告がないまま運営されていたという点は、民主主義に基づく透明性の欠如を露呈していると言えるでしょう。
まず、この株式会社の設立が県民の目に触れない形で進められていたことに大きな問題を感じます。地方自治体として県民に説明責任を果たすことは最低限の義務であり、それを怠ったことが今回の混乱を招いた要因の一つだと考えられます。特に、地方自治法では出資法人の経営状況を議会に公表する義務が定められていますが、それが一度も行われていなかったという事実には驚きを隠せません。
また、この問題がさらに複雑化している要因として、株式会社設立に関する手続きが不明確であり、責任の所在が明らかになっていない点が挙げられます。県幹部が「誰が起案・承認を行ったのか確認できていない」と述べたことは、行政組織としての管理能力の欠如を示しているように思えます。さらに、運営をコンサルティング業者に「丸投げ」していたことも、行政の主体性を失わせる要因であり、厳しく批判されるべきです。
特に、虚偽の内容を含む書類で米国政府にビザを申請していたという事実は、国際的な信頼性を損なう深刻な行為です。自治体がこのような不正行為に関与することは、法治国家としての信頼を揺るがす結果を招きます。米国の弁護士や専門家が指摘しているように、虚偽申請が発覚した場合、将来的なビザ取得に影響を及ぼす可能性があり、沖縄県だけでなく日本全体の信用問題にも発展しかねません。
さらに、この事務所の目的が政治的働きかけにあることも異例であり、慎重な検討が求められます。通常、地方自治体が設立する海外事務所は経済、文化、観光などの交流を目的としていますが、この事務所は米軍基地移設阻止という特定の政治的目的を掲げており、活動の適法性や実効性について疑問が生じています。その一方で、設立から9年間でどれほどの成果を上げたのかが明確に示されておらず、県民からの支持を得ることが難しい状況にあると言えます。
玉城デニー知事が「事務方から最近報告を受けた」と述べ、自身も詳細を把握していなかったとする発言にも疑問が残ります。行政トップとして、県政全般に関する情報をしっかりと管理することが求められる立場であり、この発言は責任の所在を曖昧にするものと受け取られても仕方ありません。行政の透明性を高めるためには、今回のような問題に対し、知事自らが率先して説明責任を果たす姿勢が重要です。
今回の事例は、地方自治体が行うべき範囲を超えた政治的活動の是非についても考えさせられるものです。地方自治は地域の発展や住民サービスの向上を目的とするものであり、国の外交方針や安全保障政策に直接影響を与えようとする動きは、越権行為と受け取られる可能性があります。このような活動が本当に県民の利益につながっているのか、十分な議論が必要だと感じます。
自民党がこの事務所の廃止に向けた動きを見せていることについては、費用対効果の観点から妥当だと思います。年間7000万円という多額の税金が費やされているにもかかわらず、その効果が不明確である以上、県民に説明できる形で見直しを行うべきです。また、この問題を通じて、地方自治体が外国で行う活動に関するガイドラインを整備し、適正な運用を確保する仕組みを構築することが求められるでしょう。
今回の事件を受けて、行政の透明性と説明責任の重要性が改めて強調されるべきです。地方自治体は住民の信頼を基盤に運営されている以上、疑念を招く行為は許されません。このような問題が再発しないためにも、厳格な監査や内部統制の強化が必要です。地方自治の在り方を問うこの問題が、今後の改善につながることを期待します。
執筆:編集部A