Jyoti Mann[原文](翻訳・編集・情報補足:川村力)
Feb 6, 2025, 6:35 AM
メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)のアンドリュー・ボズワース最高技術責任者(CTO)は全従業員に対し、同社が巨額投資を続けてきたメタバースの成否が2025年次第で決まるとの考えを伝えた。
Business Insiderが独自に確認した社内コミュニケーションツール「Workplace(ワークプレイス)」の投稿によれば、メタバースが「時代を先取りした偉業」になるのか、それとも「伝説に残る失態」になるのか、2025年はその行く先を決定づける「最も重要な」1年になるとボズワース氏は強調している。
[全文は引用元へ…]
【岡田哲哉さんの投稿】
【川村 力さんの投稿】
元記事の米国版Business Insider記事の英語タイトルは Meta’s CTO said the metaverse could be a ‘legendary misadventure’ if the company doesn’t boost sales, leaked memo shows で、2025年次第で大失態になるという、これまで期限なしで長期投資のみを語ってきたメタが、良くも悪くも分岐点、勝負どころにさしかかり、経営幹部がこのようなフレーズを使いだした、まさにその点にフォーカスしています。
引用元 https://www.businessinsider.jp/article/meta-cto-metaverse-reality-labs-legendary-misadventure-memo-2025-2/
メタバースが「時代を先取りした偉業」となるか、「伝説に残る失態」となるか、その岐路に立たされているというメタ・プラットフォームズの現状は、非常に興味深いものだ。私もこれまでメタバースの展開を注視してきたが、ここに来て社内から「大失態になる可能性がある」との発言が出たことは、今後の展開を占う上で重要なポイントになる。
そもそも、メタがメタバース構想に注ぎ込んできた投資額は膨大だ。Facebookから社名を変更し、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を組み合わせた新しいインターネットの形を目指すと宣言して以来、同社は毎年数十億ドル単位で資金を投入してきた。しかし、現時点ではその投資が十分なリターンを生んでいるとは言い難い。
まず、メタバースのビジョンそのものに対する市場の反応が芳しくない。メタが提供するVRプラットフォーム「Horizon Worlds」は、初期のユーザー獲得こそ話題になったものの、定着率が低く、多くの人々が一度試した後に離れているというデータが示されている。これは、メタバースがまだ一般ユーザーにとって「必要不可欠なもの」となっていないことを示している。
さらに、ハードウェアの問題も無視できない。メタが展開するVRデバイス「Meta Quest」シリーズは、確かに技術的には優れているものの、まだ一般的なスマートフォンやPCのように生活に密着したデバイスとは言えない。価格の高さ、装着の負担感、そしてコンテンツの不足といった課題が、普及を妨げる要因になっている。
また、経営戦略の観点から見ても、メタバースへの投資が「大失態」になる可能性は十分にある。メタは広告収益を基盤とする企業だが、ここ数年は広告業界全体が厳しい状況に直面している。特にAppleがプライバシー保護を強化したことで、メタのターゲティング広告の精度が低下し、収益に影響を及ぼした。そのような状況で、収益化の見込みが不透明なメタバース事業に巨額の資金を投じることは、投資家からの信頼を損なうリスクがある。
メタバースが成功するためには、いくつかの条件が整わなければならない。まず、コンテンツの充実が不可欠だ。現在のメタバースは、ゲームやソーシャル交流の場としては一定の魅力があるが、それ以外の用途がまだ確立されていない。ビジネス用途や教育分野での活用が進めば、より多くのユーザーが関心を持つ可能性がある。
次に、ハードウェアの進化も重要だ。現在のVRデバイスはまだ発展途上であり、より軽量で使いやすく、高性能なデバイスが求められる。特に、スマートフォンのように手軽に利用できるデバイスが登場すれば、メタバースの普及は一気に加速するかもしれない。
さらに、ビジネスモデルの確立も急務だ。現在のメタバースは、主にゲーム内課金やデジタル資産の販売を通じて収益を上げようとしているが、これだけでは大規模な投資を回収するには不十分だ。企業向けのサービスや広告の導入など、新たな収益源を見つける必要がある。
一方で、メタバースが「伝説に残る大失態」になる可能性も捨てきれない。過去にも、技術の進化を見越して大規模な投資を行ったものの、市場が追いつかずに失敗した例はいくつもある。Googleの「Google Glass」や、Microsoftの「Windows Phone」などは、その典型例だ。いずれも技術的には革新的だったが、市場のニーズに合わず、最終的には撤退を余儀なくされた。
メタバースも同様に、技術的な可能性はあるものの、現時点での市場の需要と噛み合っていない。特に、一般ユーザーが「メタバースがなければ困る」と感じるほどの利便性を提供できなければ、普及は難しいだろう。
2025年がメタバースの成否を決定づける年になるというボズワース氏の発言は、同社にとっての危機感の表れでもある。この1年でメタがどのような戦略を打ち出し、どのように市場にアピールするのかが、今後の展開を左右することになるだろう。
いずれにせよ、メタバースという構想自体はまだ完全に終わったわけではない。しかし、メタが掲げるビジョンが実現するためには、技術の進化と市場の受容が一致するタイミングを見極めることが不可欠だ。そのタイミングを誤れば、メタバースは「伝説に残る失敗」として記憶されることになるだろう。
執筆:編集部A
日テレNEWSによると 10年…