埼玉民医連SW部会は、制度的保障がないなか、地域で急増するクルド人(※1)住民の健康権を守ろうと奮闘しています。一方、改悪入管法の施行が6月に迫り、さらなる改悪もねらわれています(※2)。在留外国人(移民・難民)のいのちと健康を脅かし、人権を侵害し続けている日本。入管闘争市民連合代表の指宿昭一さんは、「変えるのは私たち市民だ」と訴えます。
川口市で長年、外国人患者にも対応してきた埼玉協同病院では、特に昨年2月のトルコ・シリア地震以降、妊娠や持病といったリスクを抱えて来日し、無保険で受診するクルド人患者が増えています。仮放免や6カ月未満の短期滞在ビザで、無保険、就労禁止、生活保護も利用できない、外国人患者の医療ニーズへの対応が、地域の課題。しかし、彼らを救うことは極めて困難です。
県連SW部会代表者の熊谷瑛え梨りさんは、「彼らにはリスクを抱えて渡航せざるを得ない事情がある。当事者や民間支援に問題を押しつけるのではなく、政治的解決を。そう考える人をどう増やすか。支援団体や行政とのネットワークづくりが重要」と話します。
同SW部会は2021年頃から年3回、外国人患者への理解を促進し、在留資格制度や使える社会資源、支援方法を周知する学習会をWEBで開催しています。県連内約30人のSWが原則全員参加し、関東地協のSWにも案内。クルド人学生から当事者の思いを聞くなど、これまでに10回以上開き、医療生協さいたまの組合員向けに映画の上映会も行いました。
21年度からは地域の支援団体「在日クルド人と共に」と毎月定例会議を行い、支援に携わる研究者も交えて課題を共有、支援方法を検討しています。きっかけは、クルド人家族の多産傾向から産婦人科が直面した困りごと。母国での女性の地位や教育水準、識字率の低さなどの背景も学び、助言を実践に役立てています。
22年度、埼玉協同病院の職員を対象に行った外国人患者対応に関する意識調査では、8割超が対応に不安があると判明。医療知識に乏しい患者の知人や、未発達な子どもが通訳することで生じるコミュニケーションエラー、子どもの権利侵害、事故の危険などの実態も明らかになりました。
23年度には調査結果を受け、神奈川の先進的な医療通訳制度の学習会を開催。支援団体を通じ、保健所職員も参加しました。川口市では未実施の通訳派遣事業について市役所と懇談。法人ヘルスプロモーション推進委員会などが企画し、「やさしい日本語講座・ワークショップ」も行いました。
無保険→受診抑制→重症化→医療費負担の増大→困窮の連鎖を断ち切ろうと、病気にならない生活へ予防的な働きかけを重視し、歯磨き指導などもしています。
View Comments
外国人の無保険者をどうこう言う前に、日本人の社会保料金のことを考えろよ。民医連とやらよ。